2008年07月22日
苦労して体感する神々しさ 熊野磨崖仏

「六郷満山」「神仏習合」このあたりの説明は、両子寺の記事の時に解説しました。
参照記事:国東を語るなら、まずはここ! 両子寺
さすがは仏の里として名高い国東半島。
観光地として、欠かせないスポットに困る事はありません。
そんな中でも一際人気を博しているスポットの一つとして、『熊野磨崖仏』を紹介します。
豊後高田市の山間にひっそりとそびえる二体の石仏。
苦労して登った先に、私が見た光景とは…。

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熊野磨崖仏は豊後高田市と山香町を結ぶ県道655号線に入れば、山道ではありますが、綺麗な道ですし、多くの案内板が見つかりますから迷う事はありません。田染平野で有名な、あの地域ですね。
車で麓まで上がると、そこから200mほど歩いて案内所まで行きます。
案内所では拝観料を支払いますが、傍には多くの杖が用意されています。まさか杖はないでしょ?と、もちろんお借りしませんでしたが、後になってちょっと後悔…。
そこから「熊野権現の道」と言われる参拝道を歩いて登ります。約300mの登り道と聞いていたので、油断していましたが、体感的には500m以上に感じました。それだけかなり厳しい道のりです。
最初は綺麗に整備された、石畳の上に小石や土が盛られたという感じの道。少し階段の幅が大きいのですが、歩きやすかったです。途中、多くの帰りの参拝客とすれ違いますので、
「まだ先ですか?」
と訊ねると、
「え?まだ半分も来てませんよwこの先には急な階段がありますから、頑張って!」
と言われましたw
いくつかの休憩所を横目に、一気にその階段の前まで歩きます。この時点で運動不足の私はもうクタクタ。かなり息も上がっていました。しかしここからはさらに厳しい急階段。100段と言われていますが、その倍くらいには感じました。
見た目にも階段というより、石段という感じの不自然な段が続きます。
実はこの階段、鬼が一夜で築いたという伝説が残るいわく付きの階段。なるほど不定期に乱積されてはいますが、どこか神々しい雰囲気も漂う石段でした。
が!
この時はそんな落ち着ける雰囲気でもなく、血圧・呼吸を最大限に上げながら(笑)何とかこれらを克服!
そして目の前に飛び込んできた風景に思わず絶句しました!!
そこはまさに映画の様な世界。急に開けた広場に、まるで苦労した参拝者を労うかのように、二体の石仏が並んでいます。
向かって左の大きい方が不動明王像。右側が大日如来像。
不動明王像は高さ約8mの半身像。建造年には諸説があり、鎌倉時代とも奈良時代とも言われています。最大の特徴はやはりこの独特の表情。
本来不動明王と言えば、今風で「コワモテ」。少し怒り気味の顔が浮かびます。しかしここ熊野磨崖仏の不動明王はむしろ笑っているように見えます。
苦労して登った先に見た、不動明王の労いの笑顔。
最高に癒されるお顔をされていました。
対照的に大日如来像は凛とした凛々しい表情。不動明王像より少し小さめですが、それでも約6.7mの半身像です。
頭部に見られる見事な「羅髪」。これから察するに不動明王像より少し時代は下がると見られています。
頭部上方には三種の種子曼荼羅が刻まれています。
平日の昼間でしたが、多くの家族連れ、ご夫婦などが二体のご尊顔に手を合わせていました。一様に汗をかき、苦労してここまで来た甲斐があったという満足気な表情で磨崖仏を見ていたのが印象に残りました。
さて、下り道はもちろん登りよりも楽です。しかし、危険なのはむしろ帰り道の方だと痛感。急な下り坂ですし、体力に自信のある方でも、帰り道は特に気をつけてもらいたいと思います。
余裕があれば帰り道は周りも見渡してみてください。
綺麗に整備された河川。その昔、見事な棚田があったのだろうと思わせる跡地などなど、古代からこの地に深く文化が根付いていたのだろうと思わせるような後もしっかりと見ることが出来ます。
と、そんな事を考えるとふいに思い出す初歩的な疑問。
もちろん、クレーンどころか脚立もなかった時代に、一体どうやってあんな大きな石仏を断崖絶壁の岩肌に彫ったのだろ?
何はともあれ、天気の良い日は、これくらいの運動を家族やご夫婦で体験し、ご利益を求めて汗を流すのも悪くありませんよね。帰り際に、60代だと思われるご夫婦にすれ違い訊ねられました。
「まだ先は長いですか?」
私は涼しい顔で答えました。
「え?まだ半分も来てませんよwこの先には急な階段がありますから、頑張って下さい」
熊野磨崖仏
拝観料 大人:200円 子供:100円
開館時間 8:30~17:00(11月~4月)
8:30~17:30(5月~10月)
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